元英会話カウンセラーのカワジュン(@kawayoshijun)です。
今回は英単語の学習につかえる「語彙の認知レベル」のお話をします。
以前の記事「『英単語がなかなか覚えられない!』効率的に英単語を覚えるための3つのポイントとは?」で効率的に語彙力を増やす方法をお話しましたが、少し別の視点からのお話です。
一口に「語彙力」といっても、実は細かく見ると複数の段階に分かれています。
それは、
- レベル0: 知らない
- レベル1: 知っている、見たことがある
- レベル2: 理解している
- レベル3: 使える
という4レベルです。
(認知、という意味ではレベル1~3の3段階)
そしてこれらは、この図のようなピラミッド型で表すことができます。
結論から言うと、
①このピラミッド全体の面積を広げること
②できるだけ上の階層に認知レベルを引き上げること
この2点が、語彙力を増やすためのポイントとなります。
それでは各レベルの解説をし、各レベルでどのような学習法が必要かを順に説明していきます。
目次
語彙の認知レベル 4段階(レベル0~3)
レベル0:知らない
これは、「その単語を全く認知していない」という段階です。
つまり、目にしたり耳にしたりしても全く知らない、初めて知る言葉、ということです。
例えば、高校生ですと「PDCA(サイクル)」という言葉を知らないケースが多いと思います。(少なくとも僕の時代では馴染みがなかったです)
ある高校生が家で家族と食事中、お父さんが話の中で「PDCA」という言葉を使ったとします。
するとその高校生は「ぴ、ぴーでぃーシーエー?なんのことだ??」となるわけです。
まだこの段階では「ぴーでぃーシーエー」=「PDCA」という認知段階ではありません。
意味どころか、文字や音声もあいまいな状況です。
英単語でも、
試験で知らない単語だらけでまったく何を言っているかわからない、
とか、
外国人が話している言葉の意味が全然わからない、
という状態ですね。
レベル1:知っている、見たことがある
次のレベルは「その単語を認識している」という段階です。
言い換えると、「見たり聞いたりしたことはあるが、意味はよく理解していない」という状態です。
先ほどの例でいうと、その高校生が本や新聞を読んだときに「PDCA」という単語が目に入ってきたとします。
その時に、「あ!父さんが言っていた『ぴーでぃーシーエー』ってこれのことかな?」という結びつきが生まれ、初めて「ぴーでぃーシーエー」=「PDCA」となります。
その後、学校でも先生が「PDCAサイクルをまわして…」という言い回しをしたときに、「あ、例の『PDCA』ね。最近よく耳にするな」と認知レベルが少しずつ上がっていきます。
ただ、まだ何のことを言っているかわからず、その時は聞き流してしまいます。
これがレベル1の「知っている、見たことがある」という段階です。
つまり、この段階ではまだ、言葉は知っていてもよく意味を理解していないという状況にあります。
英単語でも、
試験に出てきたときに「あー、この単語の意味なんだっけな…??」となる、
とか、
外国人が話しているときに、聞いたことのある言葉の意味がよく思い出せない、
というのは、この段階で止まっている証拠です。
レベル2:理解している
その次のレベルになると、「その単語の意味を理解している」という段階です。
つまり、その言葉が使われたときに、何をいっているか正確に理解することができる、ということです。
同じく、先ほどの高校生の例で話しましょう。
さっきの場面で先生が「PDCAサイクルをまわして…」と言ったときに、「先生!PDCAってなんですか?」と質問したとします。
すると先生が「PDCAとはだな、PがPLANで、DがDO、Cが…」と丁寧に説明してくれると、彼は「なるほど、そういう意味だったのか。ふむふむ」と、言葉と意味とが結びつきます。
これがレベル2「理解している」の段階の入り口です。
一度で理解できる場合もありますが、まだ記憶への定着が薄い場合がほとんどですので、何度かこの意味の理解を重ねることでレベル2が確実なものとなっていきます。
きちんと記憶する、というところまで含めてレベル2です。
試験の文中に出てきても、きちんと理解して読み進めることができる、
とか、
外国人が話している内容をきちんと理解できる、
という状態ですね。
レベル3:使える
そして、最後のレベルが「その単語を使うことができる」という段階です。
このレベルでは、その単語を自分のものとして使うことができます。
先ほどの高校生の彼が、友人と受験勉強について話しているときに、「最近はPDCAを意識して、効率的に勉強できるようになってきたよ」と、自分の話の中で自然に使えるようになる状態です。
自分で使えるようになるには、レベル2の「理解している」ことが絶対条件になります。
とはいえ、意味を「理解している」ことと使い方を「理解している」ことは別なので、このレベル3の初期段階では、使い方が合っているかを手探りですり合わせをしていくイメージになります。
ゴールとしては、
試験の英作文問題でその単語を使って例文を作ることができる、
とか、
外国人との会話の中で使うことができる、
という状態になりますが、
手探り段階では、
試験で例文を作り、ちょっと自信がなかったが正解だった、
外国人との会話の中で試しに使ってみたら通じた、
という成功体験を積み重ねて、レベル3が確立されていくのです。
語彙の認知レベルを引き上げる勉強法
では、それぞれのレベルから次のレベルへの引き上げ方=勉強法を解説します。
①レベル0→1:大量のインプット、多読・多聴
記事「『英単語がなかなか覚えられない!』効率的に英単語を覚えるための3つのポイントとは?」のなかでお伝えした、「単語との出会いの数を増やす」ということにつながります。
まずはピラミッドの底辺を広げていかないと、その上層も大きくなりません。
ですから、とにかく多くの文章に触れ、たくさんの英語を聴き、単語との出会いの数を多くする多読・多聴のような学習法が有効です。
一つ一つ正確に理解することよりも、数多く触れることがポイントです。
勘違いをしないでいただきたいのが、これは初期段階でやる、という意味ではなく、ピラミッドの総面積を広げる=底辺を広げる、という意味で、継続して行っていくべき学習法です。
②レベル1→2:精読・精聴、アウトプット
1から2への引き上げには、正確に意味を理解していく必要があるため、辞書を引いて意味を調べたり、発音を確認したり、スペルを理解する、といった地道な作業が求められます。
したがって、いわゆる精読・精聴と言われるような学習法が有効です。
具体的には、
・単語帳などで単語と意味をしっかり結びつける作業
・ディクテーションで音を聞き分ける練習
です。
また、並行して前項の「出会いを増やす」ことに加えて、アウトプットを行うことで、記憶への定着を促すことができます。
これらを並行して行うことが大切です。
このレベル2には「理解する」+「記憶する」の2要素が必要ですので、記憶を促すためにもアウトプットはこの段階から積極的に行う必要があります。
日常生活や仕事上で、実際に話したり書いたりする機会があるのであれば、積極的にレベル2の単語を使っていくこと。
もしそういった機会がないのであれば、間違っていてもいいので例文を何個もかいてみること。
そうすることで、圧倒的に記憶に定着しやすくなります。
③レベル2→3:アウトプット(確認作業)
2から3への引き上げは、もうアウトプットしかないです。
実際に使って慣れていく、これに尽きます。
やり方は前項と同じです。
逆に言うと、アウトプットの機会がないとレベル3まで引き上げることが難しくなります。
その意味で、アウトプットの機会を持つこと・持ち続けることはとても重要です。
まとめ
今回は、語彙力の認知レベルについてお話をしました。
ただやみくもに覚えるだけでなく、例えばいつも意味を忘れてしまう、というレベル1で止まっているような単語は、改めて意味をきちんと理解し、アウトプットの機会を意識的に増やす、という対策が必要です。
自分が今どのレベルで壁に当たっているか、それがわかるとやるべき学習法も見えてくるのかなと思います。
ぜひこんな視点をもって、これからの語彙力強化の参考にしてみてください(^^)
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