元スタバ店長のカワジュン(@kawayoshijun)です。
今回は人材育成における教え方の基本、「スタバ流コーチングの4つのステップ」について解説します。
簡単に言うと、「教え方の基本」のお話です。
一応、人材育成がテーマですが、子育てにも応用できる内容なので、小さなお子さんをもつお父さんお母さんにもヒントになることがあると思います。
ということで、以下のような方にぜひ読んでほしいです。
- 後輩に仕事を教えなきゃいけないけど、教えるのが苦手という方
- 部下がうまく育たなくて苦労をしている方
- 後輩(部下)のモチベーションを高めてあげたいと考えている方
- 子どもにモノを教えるのに苦労されている方
今回の内容をおさえるだけで、
「先輩の教え方うまいですね!」
とか言われるようになりますよ♪
目次
人にモノを教えるのって難しい
人を育てること、もっと細分化すると「人にものを教えること」って難しいですよね。
2年目以上の若手社員の方、あるいはマネージャークラスの方でさえも、このことに苦労している方というのは多いと思います。
僕も合計5社で勤務し、人材育成が上手な人(会社)、苦手な人(会社)をいろいろ見てきました。
苦手な人(会社)は、なんで人材育成が苦手かって言うと、答えは簡単です。
それは、「教え方を教わったことがないから」。
教え方に絶対的な正解はありません。
教える側の人柄や、教わる側(学習者)の姿勢などにもよります。
でも、実は「型」のようなものがあるんです。
この「型」ともいうべき基本をおさえるだけで、学習者である後輩や部下の成長を助け、モチベーションを高めることができます。
また、それによって信頼関係を強めることもできます。
その「教え方の基本」が「コーチング4つのステップ」です。
②見せる
③実行させる
④フィードバック
これは、スターバックスでの社員教育で行われている教え方ですが、スタバに限らず、どんな仕事でも使えるスキルです。
では、項目を一つづつ詳しく解説していきますね。
※以下、教わる側=「学習者」と記載します。
①話す
最初のステップは「話す」です。
ここでは、次の内容について学習者に説明をします。
- ゴール(目標)
- そうすることのメリット
- 注意点、そうしないとどうなるか
まずは、ゴールを明確にします。
できるようになった姿をイメージさせてあげるんですね。
といったように、可能な限り数字で示してあげられるといいです。
そうすることで、こちらが期待するレベルと学習者のイメージのギャップを埋めることができます。
そして、「それができるようになると学習者や関係者にとってどんなメリットがあるか」を伝えてあげます。
人は自分自身のためよりも、「他人のため」と思うほうが、モチベーションがあがりやすいです。
だから、
君(学習者)がこれをできるようになると、○○さんの仕事がすごくやりやすくなって助かるんだよ
のように伝えます。
併せて、注意点や「それができないとどうなるか」についても触れます。
「もしこれが間違っていると、お客さんには△△という影響がでて迷惑をかけてしまうから、正確にね。
そうなったらクレーム対応にいくのは自分だし、それは避けたいでしょ?笑
といったように、説明します。
さりげなく具体例に入れましたが、この業務がどのように他の業務と関わっているかという全体像を伝えてあげることも大切です。
目の前の業務だけを見てしまうと、ときにはスピードや質が疎かにされてしまうことがありますが、こうして他との関わりに気づかせることにより、「大切なパートを担っている」という意識で取り組んでもらうことができます。
②見せる
2つ目のステップは「見せる」です。
ここでは、次のように実際にやり方を見せます。
- 見本を見せる(全体)
- やり方を見せる(詳細)
2つは似ていますが、「見本を見せる」では全体の流れやゴール(完成形)を見せます。
「やり方を見せる」では、そのフローの細かい部分をよく見せてあげます。
例えば、事務作業であれば完成した資料や書類のサンプルを見せてあげます。
身体を使った作業であれば、一連の動きを見せてあげます。
そのあとに、一つ一つの操作方法や具体的なやり方を見せながら説明する、という流れです。
この際に注意してほしいのは、「学習者がよく見えるように気をつける」ということです。
教える側が見せているつもりでも、学習者がちゃんと見えていない可能性もあります。
そこからちゃんと見えてる?見えないなら見える位置に移動してね
と確認してあげましょう。
資料や手元の作業など、学習者の位置からよく見えるように配慮してあげるといいですね。
③実行させる
3つ目のステップは「実行させる」です。
ここでは、実際に学習者にやらせてみせます。
- 実際に一人でやらせる
- 途中で止めない
- 観察する
ポイントは、「一人で」やらせてみるということ。
一緒にやると、そのときは覚えたつもりでも、いざ一人でやろうとすると覚えてなかった、ということがよくあります。
なので、まずは一旦一人でやらせてみるのが大事です。
もちろん、ミスしても大丈夫なように、サンプルやコピー資料でやらせる、とか、安全に配慮することは忘れないようにしてくださいね。
そして、2つ目のポイントは、「途中で止めない」。
思い出そうとして手が止まってしまっても、本人が自ら助けを求めるまでは暖かく見守ってあげましょう。
途中で止めて口出しをしてしまうと、モチベーションを下げさせる原因になります。
今やろうと思ってたのになぁ!
って思われないようにしましょう(笑)
そして、もう一つのポイントは、学習者がどんな「行動」をしたかをしっかり観察することです。
ここ、大事なんでもう一度いいます。
どんな「行動」をしたか、を観察してください。
「印象」ではありませんよ、「行動」です。
これが最後のステップにつながってきます。
④フィードバック
最後のステップは「フィードバック」です。
このステップが一番大事です。
「③実行させる」で観察した「行動」に対して、振り返りのコメントをします。
- 「印象」ではなく、「行動」にフォーカスを当てる
- よかった「行動」には、行動強化のフィードバック
- よくなかった「行動」には、行動是正のフィードバック
- 自分の頭で考えさせる
ここは内容が濃いので、章立てして説明していきますね。
1.「印象」ではなく「行動」にフォーカスを当てる
「印象」とは「こう感じた」という、抽象的なものです。
例えば、
この資料だとちょっと見栄えが悪いよ。もっと見やすくして
という言い方が「印象」にフォーカスを当てた言い方。
そうではなく、「行動」にフォーカスを当てるとは、「実際に目に見える」具体的なことについて言うことです。
例えば、
これだと字が小さくて年配の方は見づらいから、フォントを大きくしよう。
ここは文章よりもグラフにした方が伝わりやすいし、目を引くよ
というような感じです。
「印象」は人によって異なるものです。
抽象的であり、主観的です。
でも、「行動」は誰から見ても同じことです。
具体的であり、客観的です。
コレが大事。
「印象」でフィードバックをすると、
いや、俺には十分見やすいけど・・・なんで?
納得いかないわ〜
となってしまいます。
「行動」にフォーカスを当ててフィードバックをするということは、学習者にとっても否定できない事実なので、納得感が高まります。
2.2種類のフィードバック(行動強化と行動是正)
そして、フィードバックには2種類あります。
- 行動強化のフィードバック
- 行動是正のフィードバック
行動強化とは、良かった行動に対して褒め、今後も同じ行動をするように後押しすること。
行動是正とは、良くなかった行動に対して改善を促し、するべき行動に導くこと。
行動強化のフィードバックの際は、しっかり、そして、具体的に褒めてあげましょう。
多少わざとらしくてもOKです。
褒められて嫌な気がする人はめったにいません。
でも、
今日の商談、なかなかよかったよ
と抽象的に言っても、具体的になにが良かったのかわかりません。
え?俺はこないだと同じことしかしてない気がするけど・・・
でも機嫌が良さそうだから、まぁいいか
と思われてしまうだけです。
具体的ないい例は、
さっきの商談のあのタイミングで○○と言ったのはよかったね。
その後お客さんが一気に興味を持って△△についての質問をしてくれて、クロージングにつながったよね
という感じです。
行動是正のフィードバックの際には、
- なぜその行動が良くなかったのか
- では、どうするべきだったのか
の2点について考えさせてあげます。
例としては、
あそこで○○と発言してたね。
あれでお客さんの態度が変わったのに気づいた?
なんでそうなったと思う?
じゃあ、代わりになんて言ったら良かったと思う?
という具合です。
3.ポイントは「自分の頭で考えさせる」
今の例でもさり気なく含みましたが、ポイントは「自分の頭で考えさせる」です。
正解を与えてしまうと、同じシーンではできるようになるかもしれませんが、理解は一時的・表面的です。
そうではなく、自分の頭で考えさせてあげることによって本質的に理解をし、他の似たようなシーンでも応用が効くようになります。
また、自分で答えを出すことによって、「やらされてる感」をなくし、自主的に答えを導き出したという思考になります。
これによって、学習者の納得感を高めることができます。
このフィードバックの3つのポイントがきちんと押さえられていると、学習者にとっては
ちゃんと自分のことを見てくれている先輩(上司)だなぁ。
頑張れば褒めてくれるし、フィードバックもわかりやすくて納得できるな〜
というように思ってもらうことができ、信頼関係を強めていくことにつながります。
それによって、行動是正のフィードバックがますます素直に受け入れられてもらえる、という良いスパイラルができ、成長を加速させてあげられます。
まとめ
いかがでしたか。
仕事や子育てに使えそうな要素があったのではないでしょうか。
まとめると、
①話す
⇒ゴールの明確化、することのメリット、しないことのデメリット
②見せる
⇒全体像を見せる、やり方(詳細)を見せる
③実行させる
⇒一連の流れを自分一人でやらせる、途中で止めず観察する
④フィードバック
⇒「印象」ではなく「行動」にフォーカス、行動強化と行動是正、自分の頭で考えさせる
ですね。
重要なポイントは、「自分で考えさせる」ことです。
すぐに正解を与えるのではなく、導いてあげるのがコーチングです。
ちなみに、以前の記事をお読みいただいた方は、「VAKの学習スタイル」が網羅されていることにお気づきかと思います。
そうです、どの「VAKの学習スタイル」でも、どこかしらでしっかり理解ができるようにもなっているんです。
最後に、僕の大好きな言葉を紹介します。
有名な言葉ですが、山本五十六という太平洋戦争時の連合艦隊司令長官だった方の名言です。
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、
ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、
任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、
信頼せねば、人は実らず。
人材育成の本質を物語っている言葉です。
ホントにそうだなぁ、と仕事をしながら共感したことは数え切れません。
今回のコーチング4つのステップも、これに通じるところがあるのではないでしょうか。
ぜひこのコーチング4つのステップを活用して、「教えることって楽しい!」と思えるようになってほしいです。
ここからここまでの作業を一人で○○分くらいでできるようになるのがゴールだよ