こんにちは、カワジュン(@kawayoshijun)です。
僕は今年(2018年)1月、「会社都合」で退職をしました。
具体的に言うと、昨年に体調不良のため2度休職をしたことを理由とした、会社からの「退職勧奨」です。
退職にあたっては、理由を「自己都合」にするという選択もできたんですが、それぞれのメリットとデメリットをよく検討した上で会社都合にしました。
そこで今回は、会社都合と自己都合のそれぞれの違いや、転職を考えた場合にどちらが有利(不利)か、ということについて解説します。
同じような境遇の方は、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
目次
会社都合と自己都合の違い
まずは、会社都合と自己都合、それぞれどういったケースがそれにあたるのかをまとめてみますね。
- 倒産
- 事業所の廃止
- 解雇
- 雇い止め
- 退職勧奨
- 早期退職制度の利用
経営不振による倒産や事業所の廃止、解雇などは会社都合になります。
また、その他の理由による退職勧奨も会社都合にあたります。
加えて、早期退職制度に対して手を挙げた場合も、基本的に会社都合とみなされます。
言葉通り、会社の都合で、本人の意思とは無関係に退職を余儀なくされるケースですね。
解雇と退職勧奨は少し似ていますが、全く違うものなので少し解説しますね。
- 解雇 : 会社が一方的に退職を通告すること
- 退職勧奨: 会社が、退職してほしい労働者に対して退職を促すこと(同時に条件を提示するケースが多い)
大きな違いとは、解雇が「一方的に」通告されるものに対し、退職勧奨の場合は「拒否することができる」ということです。
つまり、労働者の「同意」があるかないか、という違いがあります。
ただし、拒否しても結局、居心地が悪くなってしまいますが…。
会社側からすると、「解雇」の場合は解雇予告手当金の支払いが必要になったり、不当解雇と訴えられるリスクがあるため、解雇ではなく退職勧奨という手段を選ぶことが多いです。
いずれにせよ、退職勧奨は同意があるといっても、発端としては会社側からのものなので、会社都合という扱いになるわけですね。
では続いて、自己都合の退職について。
・個人的な理由(転職・結婚・妊娠・出産・引っ越し・家庭の都合など)
・懲戒解雇
基本的には、労働者が自らの意思で退職する場合は自己都合という扱いになります。
ここで注意してほしいのは、懲戒解雇も自己都合という扱いになるということです。
なお、自己都合の退職でも、下記補足の「特定理由離職者」にあてはまる場合は、会社都合の人と同様にみなされるケースがあります。
特定理由離職者とは、以下のケースに該当する人です。
- 有期雇用契約の場合に、労働者が更新を希望したのに更新されなかった人
- 体力不足や心身障害、疾病、負傷等により離職した人
- 妊娠・出産・育児等により離職し、受給期間延長措置を受けた人
- 親の死亡や疾病、負傷による扶養のための離職や、親族の看護など家庭の事情が急変して離職した人
- 以下の理由により通勤が不可能もしくは困難になって離職した人
(結婚に伴う住所変更、保育所の場所、事業所移転、本人や配偶者の転勤や、転勤による別居の回避、通勤手段の廃止等) - 早期退職制度を利用する人の一部のケース
ちょっとややこしいので、自己都合の場合について、少しまとめてみましょう。
まず一つ目が、会社の意思とは無関係に、自分の都合で退職するケース。
もう一つが、懲戒解雇のように、会社としては雇い続けてあげたかったけど、本人に改善の意思が見られなくてやむを得ず解雇する、という、労働者に非があるケースです。
ただし、自己都合ではあるけれども、本人の意思ではなくて状況や環境によって仕方なく、という場合は「特定理由離職者」扱いになって、会社都合と同様にみなされる、という感じですね。
以上の違いを踏まえて、次の章ではそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
会社都合のメリット・デメリット
【会社都合のメリット】
①失業手当を受け取るまでが早い
自己都合の場合には3ヶ月間の給付制限(すぐに給付が受け取れない期間)というものがあるのですが、会社都合の場合にはないため、失業手当をすぐ受け取れます。
これは大きなメリットですね。
ただし、「待機期間」といわれる、初めてハローワークに行って申請手続きをした日を含めた7日間は、自己都合の場合と同じく適用されます。
なので、申請日の7日後からが給付期間になります。
②失業手当を受け取れる期間が長い
また、受給期間も自己都合の場合に比べ長くなります。
つまり、総支給額が多くなるということです。
これも非常に大きなメリットですね。
詳細は下の表をご覧ください。
※障害者等の就職困難者のケースは割愛
【自己都合の場合】
算定基礎期間 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
全年齢共通 | 90日 | 120日 | 150日 |
【会社都合の場合】
算定基礎期間 | 1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
30〜34歳 | 90日 | 120日 (90日) |
180日 | 210日 | 240日 |
35〜44歳 | 90日 | 150日 (90日) |
180日 | 240日 | 270日 |
45〜59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60〜64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
※( )は、離職日が平成29年3月31日以前の場合
③国民健康保険(国保)の軽減を受けられる
退職すると、基本的には会社で加入していた健康保険から脱退し、国民健康保険に切り替え(加入)することになります。
でも、会社都合の場合にはこの保険料の算定基準額(前年の所得等)を30/100にしてもらえる制度があります。
ざっくりいうと、保険料が3割以下になるってことです。
これもかなり大きいですね。
ちなみに、軽減されるのは離職日の翌日から翌年度末までです。
また、途中で就職して会社の健康保険に加入する場合には、国民健康保険を脱退することになるので、その場合も終了となります。
④退職金
会社の就業規則にもよりますが、一般的に自己都合の場合よりも多くもらえます。
これは会社次第ですね。
まとめると、会社都合の場合には、金銭的なメリットが非常に大きいです。
仕事を失ってからの金銭的な負担は精神衛生上けっこうキツいので、それが軽減されるのはすごく大きいと思います。
【会社都合のデメリット】
ただし、会社都合の場合、一つだけ大きな問題が残されます。
・履歴書
それは、履歴書上に「会社都合」の文字が残ることです。
会社都合で退職した以上、バレないだろうと履歴書に「自己都合」と記載することは虚偽の記載になりますので、トラブルのもとです。
そのため、「会社都合」と記載するわけですが、これは転職の際に足かせになる可能性があります。
転職の面接では前職の退職理由を聞かれるのが一般的です。
その場合、倒産や事業所の廃止という理由ならまだ理解が得られやすいですが、解雇や退職勧奨の場合は、その具体的理由についても聞かれる可能性が高いです。
自己都合のメリット・デメリット
続いて、自己都合退職の場合のメリット・デメリットについてみていきましょう。
基本的には会社都合の場合の逆になります。
【自己都合のメリット】
・履歴書
はっきり言って履歴書の面だけです。
会社都合のデメリットの逆で、履歴書には「一身上の都合」とだけ記載すればいいので、面接で詳細を聞かれても、ある程度自分で考えて、説得力のあるポジティブなストーリーを作ることが可能です。
【自己都合のデメリット】
①失業手当を受け取るまでに3ヶ月以上かかる
まず、受給までの期間が長いことが挙げられます。
ハローワークへの申請日を含めた7日間は「待機期間」となるのは会社都合の場合と同じですが、自己都合の場合は「給付制限」という3ヶ月間が適用され、実際の支給開始は申請日から7日+3ヶ月後になります。
②受給期間が短い
これも会社都合と逆で、自己都合の場合は受給期間が短くなります。
詳細はさっきの表を見てもらいたいのですが、算定基準期間(雇用保険加入期間)が10年未満だと90日、それ以上でも最大で150日となっています。
③国民健康保険の減額は受けられない
会社都合の場合のように、国民健康保険減額の制度は適用されません。
ただし、先ほどあげた「特定理由離職者」の場合は、会社都合の場合のように減額してもらうことが可能です。
どちらの退職理由でも利用できる「国民年金の免除制度」
なお、会社都合と自己都合、どちらの場合にも利用できる制度があります。
それが、国民年金の免除制度です。
通常、退職すると会社の厚生年金を脱退して、国民年金に切り替えることになります。
でも実は、失業の場合には納付額を全額免除してもらうことができる制度があるんです。
これはぜひ利用することをおすすめします!
なお、年度(7月〜翌年6月)ごとに申請が必要ですが、再申請が可能です。
ただし、当然ですが、免除期間の分は納入額に加算されないので、年金を受け取る際に支給額が少し減ることになります。
でも、追納も可能なので、あとで収入が増えた際にまとめて払うことは可能です。
月額何万円という単位の支払いが免除されるわけなので、これはぜひ利用したほうがいいです。
詳しくは、各市町村区の役所にある年金課で確認・手続きしてもらうことができます。
会社側が自己都合を勧めるワケ
退職勧奨などの際に、会社が自己都合を勧めてくるケースがあります。
その際の言い分としては、
というものです。
確かに、不利になる可能性はあります。
ただし、会社都合によるメリットも非常に大きいので、よく考えなければいけません。
では、なぜ会社は自己都合による退職を勧めてくるのでしょうか?
これにはいくつかワケ(理由)があります。
①雇用助成金
会社が雇用関係の助成金を申請・受給している場合、解雇や退職勧奨をしてしまうともらえなくなってしまうケースがあります。
そのため、助成金をもらいたいと考えている会社は、できる限り解雇や退職勧奨を減らそうとするわけです。
②不当解雇と訴えられる可能性
一方的に退職をさせると、労働者から「不当解雇だ!」と訴えられてトラブルになる可能性があります。
そのため、少しでもその面倒を避けるため、労働者との合意を取ろうとするわけです。
③退職金
自己都合にして、退職金を払わない、もしくは減額するというケースがあります。
これは会社の就業規則次第ですが、会社側が「去っていくものにはできるだけお金を払いたくない」と考えるケースですね。
【会社都合なのに退職届の提出を求められた場合】
退職届は、基本的な考え方として「労働者が自ら退職を届け出る」という文書です。
なので、下手をすると自己都合扱いにされてしまう恐れがあります。
「どうしても会社の手続き上必要だから提出を」と言われたら、「会社都合による退職」ということをしっかり明記しましょう。
そうでないと、あとで離職票を受け取ってみたら自己都合と記載されていた、ということが起こりかねませんので。
会社都合と自己都合、どちらが転職に有利?
結局、会社都合と自己都合、転職を考えた時にはどちらが有利なのか?
結論から言うと、ケースバイケースです。
確かに会社都合の方が金銭的なメリットが大きいのですが、面接で不利に働く可能性も否めません。
また、自己都合の場合にも、就業期間やこれまでの転職回数などによって、大きく不利になることもあるからです。
なので、どちらがいいとも言えず、自分のケースに即して判断をすることが必要です。
【会社都合の方がいいケース】
①自己都合だと面接で不利になりそうな場合
就業期間が短かったり、転職回数がすでに多いようなケースだと、自己都合では「またすぐに辞めてしまうのでは?」という印象を持たれ、イメージが悪くなる可能性があります。
かといって会社都合だと納得できる、というわけではありませんが、自己都合の場合は不利になる可能性がぐっと高まりますので、相対的に会社都合の方がいいかもしれない、という考え方ができます。
②会社都合の理由に関して正当な理由が伝えられる
会社都合の理由に関し、しっかりとしたストーリーづくりができる場合もOKです。
会社都合の場合、その裏の理由は自分が言わないかぎりバレるということはないので、面接で説得力のあるストーリーを説明できればマイナスにはならないでしょう。
その場合、自分には非がないこと、また、会社に対して採用への不安を感じさせないようにすることが求められます。
③一旦落ち着きたい場合
まずは一旦落ち着きたい、という場合も、会社都合の方が安心です。
自己都合の場合よりも金銭的なメリットが多いので。
【自己都合でもアリなケース】
注意してほしいのが、自己都合の方がいい、ということではなく、自己都合にするのもアリ、という考え方です。
・すぐに転職できそうな場合
例えば、
- これまでの転職回数が少ない場合
- 年齢的にあまり不利にならなそうな場合
- これまでの就業期間がある程度長い場合
などです。
基本的には会社都合のほうが有益な点は多いですが、転職活動で突っ込まれる可能性があることを考えると、自己都合の方が退職理由のストーリーづくりが比較的容易です。
原則的として退職理由は選べるものではない
一応言っておきますが、そもそも退職理由は労働者が選ぶものではないんです。
ただし、退職勧奨のような状況では、企業側との相談の中で、自己都合を選択するという判断もあるかもしれない、という話です。
この点をはき違えないように気をつけてくださいね。
退職時のトラブルを避けるための方法
どちらの退職理由にせよ、双方が納得して円満退社となるのがベストです。
とはいえ、退職時期、有給休暇の取得(精算)、貸与物品の返却など、退職時のトラブルが発生するケースは現実的に多いです。
企業側には弁護士や社労士などがいて、チームとして戦略的に「きれいに」退職を促そうとしてきます。
それに対して素人の一個人で対応するのは不安ですし、悪条件で退職するはめになるのは避けたいですよね。
そんなときは、外部のサービス(無料・有料)を利用するのがおすすめです。
【無料】公共サービスを利用する
退職トラブルを避けるためには、まず公共のサービス機関を利用するのをおすすめします。
「労働相談」と検索すれば、各自治体の労働相談サービス機関が出てきます。
僕も、会社都合でいいのか、それとも自己都合とするべきかを悩んだ際に、「東京都労働相談情報センター」を利用しました。
とても親身に相談にのってくれますし、細かい質問にも丁寧に答えてくれます。
もちろん無料の公共サービスなので、気軽に相談してみてください。
ただし、具体的に会社(事業主)と交渉してくれたりするわけではなく、あくまで相談ができるというサービスになるので、会社との交渉は自分で対応する必要があります。
【有料】退職代行サービスを利用する
もし退職トラブルが大きくなりそうで以下のような場合、有料のサービスを利用する方法があります。
- 自分ひとりでは対応しきれないケース
- 自分だけでは不利な状況になりそうなケース
- 会社と直接やり取りしたくないケース
それが「退職代行サービス」です。
退職代行サービス業者には、以下のような対応をすべておまかせすることができます。
- 上司への退職意思の通達
- 退職に関する書類の受け取り
- 給与の支払い交渉
- 有給休暇取得の交渉
- 会社からの貸与物返却に関するやり取り
- その他、退職に関する会社とのやり取り全般
退職代行サービスに依頼すれば、即日退職も可能です。
退職代行サービスの中でもおすすめなのが「退職代行ニコイチ」です。
「ニコイチ」は、退職代行業者では老舗となる創業14年の企業で、退職成功率100%、退職成功累計人数4,575人(2019年2月)という実績があります。
また、心理カウンセラーが在籍しているのでメンタル面のサポートもしてもらうことができます。
もし自分ひとりでの退職交渉が難しそうなら、一度相談してみるといいでしょう。
急な退職に備えておこう
そして、もう一つおすすめしたいのが転職エージェントへの登録です。
転職エージェントとは、転職を希望する人が無料で利用できるサービスで、カウンセリングを受けて強みとなりそうな経歴を分析してくれたり、自分に合った企業を紹介してくれたり、履歴書などの応募書類の添削をしてくれます。
これら全てを無料で利用できます。
転職エージェントは、今すぐ転職を希望していなくても、誰でも登録ができます。
ですから、登録だけして一度カウンセリングで相談し、自分の客観的な評価を知っておいたり、必要なときにすぐ動けるように必要書類を用意しておく、ということが可能です。
僕も転職エージェントは常にいくつか登録をしておいて、いざというときにすぐ転職活動ができるようにしてあります。
以前、急に退職を決意したときも、在職中からすぐに動いて、退職日の2週間後には次の就職先を決めることができました。
なので、会社と退職理由などでゴタゴタしてしまって、いずれにせよ退職せざるを得ない、というようなときに備えておく意味で転職エージェントに登録しておくことをおすすめします。
また、転職エージェントは転職に関してのプロなので、退職理由についての相談にものってくれますよ。
転職エージェントはいろいろありますが、個人的におすすめなのはdodaエージェントサービスです。
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その他は、最大手で案件数の多いリクルートエージェントあたりも一緒に登録しておくといいでしょう。
とりあえずこの2件は登録しておいて損はないです。
まとめ:基本的に退職理由は会社都合のほうがメリットが大きいが、自分の状況によって判断しよう。
いかがでしたか?
少し堅苦しくてむずかしい内容だったと思いますが、いざというときにはこういった知識をもっていないと厳しい状況におちいる可能性があります。
僕の場合、再就職をしていない現状としては会社都合でよかったと考えています。
やはり国民健康保険の支払いが減額になるのは大きいです。
加えて、国民年金の免除があるので、経済的な安心感が全然違います。
ですが、もし今後再就職をしようとした時には不利になるリスクをはらんでいるのも事実です。
くれぐれも安易に判断せず、自分の状況を考えて正しく判断をしてほしいと思います(^^)
また、どのような選択をするにせよ、先を見越して転職エージェントに登録しておくといいと思います。
退職が決まってから動くよりも、少しでも準備ができていると、気持ちの余裕が全然違います(^^)
転職エージェントはいろいろありますが、個人的におすすめなのはdodaエージェントサービスです。
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また、こちらの記事で転職エージェントに登録しておいたほうがいい理由などを解説していますので、よかったら参考にしてみてください。
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