前回の記事では、「VAKの学習スタイル」を活用した英語学習についてお話をしました。
今回はその「VAKの学習スタイル」を、人材育成に応用するお話です。
仕事を教わる人(=学習者)のVAKスタイルを考えながら教えてあげると、学習者の習得効果が上がります。
それによって、教える側・育てる側の負担も大幅に軽くなってきます。
こんなことありませんか?
- 「頑張って教えてるけど、なかなかわかってもらえない」
- 「あいつは教えたらすぐに理解できたけど、こいつは全然わかってくれないな!」
- 「こいつ、全然メモを取らないけど、ほんとに大丈夫か?」
もしかしたら、それはVAKを取り入れることで解決するかもしれません。
では、どのように活用すればいいか。
その4つのポイントを解説していきます。
VAKについての詳細はこちらの記事
⇒「【英語学習】「VAKの学習スタイル」を取り入れて学習効果を高めよう!」
目次
1.VAKスタイルによる仕事上の行動パターンを知る
まずはじめに、仕事上だとVAKスタイルがどんな行動パターンとして現れるか、を理解する必要があります。
①視覚優位
- 人の話を聞くとき、視線が手元の資料にあることが多い
- 資料をしっかり読み込む
- メモやノートをたくさん取る、綺麗に書く
- デスク周りの整理整頓ができていて綺麗
②聴覚優位
- 人の話を聞くとき、目を見て話を聞く
- うるさい環境が苦手、静かな環境を好む
- 理路整然とした話し方をする
- 説明を聞いただけで理解するのが早い
- メモをあまり取らない
よく聞く話にあるのが、
「お前全然メモを取らないじゃないか!やる気あるのか!?」
という叱責です。
実は聴覚優位の人はメモをあまり取らなくても理解ができるため、する必要がない、あるいはその習慣がないということがあります。
もちろん、やる気の問題のこともありますが、頭ごなしに「メモを取らない」=「やる気がない」と決めつけるのは非常に危険です。
③運動感覚優位
- やりながら覚える方が好き
- 長時間資料を見たり、説明を聞いたりするのはあまり好まない
- なにかしら動いていることが多い
- 実際にやらせてみると覚えが早い
以上、VAK別に現れやすい行動パターンを説明しました。
断っておきますが、あくまでその傾向が強い、ということであって、必ずしも全員に当てはまるわけではなりません。
あまり決めつけてしまうと、逆に信頼関係を損なう恐れもあるので注意しましょう。
2.学習者のVAKスタイルを探る
2つ目のポイントは、「学習者のVAKスタイルを探る」です。
ここでは、仕事を教わる人=「学習者」として表記していきます。
「学習者にとって、どのようにしたら一番学習効果が高いか」を知らなければ、適した教え方ができません。
そのためには以下の3つの方法が考えられます。
①VAK診断を受けさせる
VAK診断を受けてもらうのが一番手っ取り早いです。
前回の記事でもお話したように、自分のことは一番自分がわかっていないものなので、本人の認識とも違う場合があります。
もし診断してもらえるようなら、それが一番わかりやすい目安となります。
また、その診断結果をネタにしてお互いのことをもっと理解し、関係性を深めることもできるというメリットもあります。
※VAK診断(無料)はこちら
⇒「脳タイプ診断 NLP キャラ脳」(http://brain.sinritest.com/NLPvak.htm)
②学習者に質問する
過去にどのような学習スタイルが効果的だったかを直接聞くのも一つです。
前回の記事を参考に、どのような学習方法が効果的だったか、いつもどんな学習方法をしているかを聞いてみましょう。
また、①同様、「聞くこと」それ自体が、コミュニケーションの発生につながり、関係性を深めることにつながっていきます。
③学習者の行動を観察する
上記①②が難しい場合、もしくは①②の前段階として、「観察」から情報を得ることもできます。
先程説明した、各VAKスタイルの行動パターンを参考にして、学習者がどれにあてはまるかを予測してみましょう。
3.教えるときにVAKを意識的に活用する
さて、ここが本題です。
学習者のVAKがわかったら、本来の目的「効果的に仕事を教える」というステップです。
早速、それぞれのVAKスタイルに沿った教え方を解説していきます。
①視覚優位の学習者
視覚情報による学習が効果的なので、視覚に訴える教え方をしていきましょう。
具体的には以下のような方法が考えられます。
- 映像資料があればそれを見せる
- パワーポイントの資料を活用する
- 紙の資料やホワイトボードなどを活用し、図などで示す
- PC上でも紙でもかまわないので、資料を用いて説明する
- 見本を見せる
②聴覚優位の学習者
聴覚情報による学習が効果的なので、聴覚に訴える教え方をしていきましょう。
具体的には以下のような方法が考えられます。
- 順序立てて説明する
- 話し方(声の高さ、トーン)を工夫する、「えー」とか「あー」とかできるだけどもらないように気をつける
- 話し合いの中で理解するのが得意なので、質問しやすい環境づくりにも配慮する
- 騒がしい環境だと集中力が乱されやすいので、教えるときは会議室を使うなど環境づくりに配慮する
③運動感覚優位の学習者
運動感覚情報による学習が効果的なので、運動感覚に訴える教え方をしていきましょう。
具体的には以下のような方法が考えられます。
- 説明はできるだけ簡潔にし、早めに実践させる
- 長時間資料を見たり、一歩的に説明を聞いたりすると飽きてしまうので、その中でも手を動かさせたり、考えさせたりする工夫をする
- ロールプレイを多用する
- はじめから完璧を期待せず、まずやらせてから修正をしていく
4.必要に応じてVAKの親和性が高い人に協力を頼む
最後のポイントは、「他人の協力をあおぐ」ということです。
学習者のVAKを理解し、それに合わせて教えようとしても、教える側のVAKがあまりにも異なっていると、限界がある場合もありますし、お互いにとってストレスになってしまうことも考えられます。
そこで、例えば同じチーム内に、学習者とのVAKスタイルが近そうな人がいれば、その人に協力をしてもらう、という方法も選択肢として考えていきましょう。
全部でなくても、どうしても教えるのが難しいようなポイントだけお願いするなど、頼まれる側にとってあまり負担にならないようにお願いすれば、きっと協力してくれるでしょう。
その場合、一緒にその方の教え方を見ることで、自分にない教え方を学べるかもしれません。
また、自身がマネージャーで、誰に教えさせるかの決定権がある場合、自分が教えなくてもいいことは他のVAKの親和性が高そうな者にお願いする、という視点も持ちましょう。
これは人材育成という面のみならず、マネジメント面における権限委譲という意味でも大切です。
まとめ
いかがでしたか。
一般的な社会人だと、早ければ20代半ばには「人にものを教える」という状況に直面すると思います。
いや、アルバイトだと大学生から経験するかもしれないですね。
その際に、今回お話したような視点を持つと、学習者が効率よく仕事を覚えてくれ、スムーズに育ってくれるかもしれません。
そうすれば、自分も楽になりますよね。
ぜひ参考にして、取り入れてみてください。
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